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アベノミクス相場を象徴するガンホー
バブルというものは、私たちに、歓喜と絶望のコントラストとはどういうものかを教えてくれる。そして今は他ならぬ歓喜の時。

バブルが発生する頻度はオリンピックの開催よりも低い。しかしひとたび起これば、多くの人に関わる。東京を見下ろせる大きなガラスを背にしてソファーで足を組む成り上がりの経営者から、新橋で終電を逃した酔っ払いを待つタクシーの運転手まで。誰もかもが、何かしらの影響を受ける。

幾多のバブルには、そのバブルごとに象徴的な銘柄がある。1989年の不動産バブルではNTTの名前がしばしば挙がる(損した話として)。2000年のITバブルでは光通信が語りぐさだ。2005年の新興市場バブルではライブドアの名前をマスコミがいまだに繰り返している。そして今回、アベノミクスバブルを象徴する銘柄が何かと言えば、ガンホー、ということで今のところ異論はないだろう。

ガンホーは「パズドラ」を世に送り出した。人々は「パズドラ」で遊び、投資家は「パズドラ」を作ったガンホーで遊ぶ。それらは相似形になっている。その形は、人間かくも暇、ということを表している。

ガンホーにはバブルという一言では括れない厚みがある。即ち、業績という実体生がある。大きな熊手で小銭をかき集めた。Googleに課金サーバーを増強させるに至ったほどに。「塵も積もれば山となる」。そしてその大きな山は、株価チャートという形で私たちの前に具現化した。

私もガンホーは何回か売買した。しかし、はっきりと覚えているのは、最後の売買だけだ。私が売買したときのことが、何かしら役に立つことがあるかもしれないと思って、思い出しながら書いてみる。
4月24日と4月25日は持ち越した。確か60株。その前は100株売買していたから、その100株をそのまま持っていれば良かったと少なからず思う。それでも、欲しかった夏にちょうどいい藍染めのパンツを買うに足りれば大きな不満はない。
そんなことことを考えながら迎えた4月26日の朝。今日は売却することになるのではないか、そう思っていた。売却のタイミングをみるために、3つの節目となる価格を意識していた。

ひとつめの節目は734,000円。この数字が意味するのは上場来の高値。ほんとは2310万円という数字があるが、株式分割が行われているため修正後の上場来高値を計算すると734,000円という数字が出る。マーケット参加者はこれを越えられるかを見ていた。

ふたつめの節目は869,000円。ガンホーの発行済株式数は1,151,710株。株価が869,000円を越えると、時価総額が1兆円となる。豆腐の一丁とは違って、時価総額一兆というのは滅多なことじゃない。

みっつめの節目は100万円。株の知識が全くないても、いや、株だなんて聞くと塩を撒きたくなるような人であっても、区切りのよい100万という数字が意識されることくらいは想像できる。

これら節目では株価が足踏みしやすく、それを越えると次の節目までするすると動く、ということがよくある。
4月25日が引けるまでにひとつめの節目、ふたつめの節目を共に越えたことを確認できていた。次はみっつめの節目、と思っていたら、4月26日は25日の終値よりも安い869,000円で始まった。この価格は、単なる偶然か、ふたつめの節目に一致した。
寄った瞬間、次のように考えた。「時価総額1兆円からのスタート。もし上に行くとしたら、100万円を目指すだろう。そこには厚い板が待っているに違いない。あいだに節目があるとしたら90万円ちょうどと、前日高値の929,000円だろうか。とりあえず、90万円に対する反応を確認しよう。そして、いつ価格の崩落が来てもいいように、瞬時に売却できるようにしておこう。もしストップ安などになったら、藍染めのパンツが買えない」

目を細めて板とチャートを見ていると、90万円の越えた少しあとに、かくんと下げが来た。モニターに表示された小さな陰線に、日本中のガンホー株保有者がおののいていた。
この急落はすぐ反発すると読むか、もう十分だと判断して撤退するかの選択を迫られた。

私が今、資産運用で一番大切にしているのは気持ちよさだ。

選んだのは、888,000円での売却。8並び。
今回のバブルを象徴するガンホーという銘柄との関係を、キリの良い形で、綺麗に終わらせよう。そう思い、そうした。

人とお金の関係は、男と女の関係に似ている。美しくもできるし、あるいは哀しくもできる。

いずれにせよ、誰もが、できるだけ後味がよいものにしたい。
それなりに、なんとかそうできたように思う。

思い残すことがないわけではない。もっと多く買っておけば、もっと安く買っておけば。
しかし、バブルがもう暫く続けばチャンスはいくらでもあるし、過ぎた後は、忘れてしまうに限る。よかったことだけを記憶にとどめれば、人生はいつ振り返ってもよいものであるに違いない。よい想い出だけが書かれた日記を読み返すように。
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